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研究内容

研究内容

材料には無限の可能性があります。現在でもその進化は続いています。我々のグループでは、材料物理化学に基づいて新規材料を開発するとともに、現行のプロセスの改善も行っています。

材料は、原料(鉱石・廃棄物等)から素材(金属)になり、そこから製品化されます。朱・竹田研究室は、高温物理化学を基礎として、「高温融体」(液体の「溶融塩*」・「溶融金属」・「溶融金属酸化物(スラグ)」)を中心としながら、「電気化学」「高温物性」「環境技術」「機能性材料」の4つの分野の研究を行っています。研究のテーマは、原料から素材への研究であったり、素材の改善であったり多岐にわたります。

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また、工業化や社会貢献は、4つの分野がそれぞれ独立しているだけでは可能にならず、全ての分野が融合することで可能になります。

*溶融塩:食塩(NaCl)等を高温で溶かしたもの。基本的にプラスイオン(カチオン)及びマイナスイオン(アニオン)で構成され、水溶液と同様に電気を通しやすく、水溶液の中で安定に存在しないような活性金属も安定に存在させることが可能であるもの。

「電気化学」

我々のグループでは、溶融塩を用いた電気化学を行っています。溶融塩は、水を含まないので、例えば、リチウムやレアアース金属といった水の分解電圧よりも大きな分解電圧が必要な金属の電気分解が可能です。

我々のグループでは、溶融塩電気化学を利用した、活性金属の製造、アルミニウム等の金属製錬、電気メッキによる耐熱材料の表面改質等の研究を行っています。

例えば、タービン材として用いられるNi基超合金の表面に、耐酸化性に優れた二珪化モリブデンの被膜を電気化学的に形成することに成功しています。タービンは火力発電に用いられますが、近年の火力発電依存から環境負荷低減や燃料費低減のため高効率な発電が重要視されています。より高温でも耐酸化性が実現できる方法が検討され続けており、この形成法の改良に関しても研究を続けています。現在は、超軽量で高温でも高強度のC/Cコンポジットの表面を珪化することで、革新的な耐熱材料の創成を目指しています。その他にも今後需要が高まることが予測されている、イオン電池等の様々な電気化学的視点からの研究も行っています。

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様々な“溶融”塩!実は、カラフルな世界です。

「高温物性」

高温融体の熱物性(粘度、密度、表面張力、電気伝導度等)は、原子レベルの融体の構造を研究する上で重要です。また、金属素材の製錬・精錬に関する装置やプロセスの設計に不可欠です。

例えば、世界中で約20億トンも生産されている鉄鋼の製錬では、SiO  、CaOが含まれたスラグやフラックスの使用は非常に重要です。それらの粘度や表面張力を制御することにより、実際の操業を更に高効率にすることが可能となります。

我々のグループでは、高温融体の熱物性値を正確に決定することで液体の本質的な挙動を研究しています。例えば、雰囲気制御可能な回転法粘度計を開発し、フッ化物を含む溶融ケイ酸塩の粘度を正確に決定することに成功しました。現在は、一般には難しい非常に低い粘度を正確に測定できる回転法粘度計の開発等を行い、より広い組成範囲での粘性挙動を明らかにすることを試みています。また、高温スラグの表面張力の測定等のその他の高温物性の測定も行っています。更に、最近では、キセノンランプの光を集めて試料を加熱する装置を導入し、Al  O  やMgO等の融点が2000℃を越える酸化物を溶融して、その表面張力を測定する研究にも取り組んでいます。

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​「環境技術」

近年、SDGsの観点が世の中で非常に注目されています。材料研究の業界でもその注目度が高く、様々な研究グループが環境技術を改善するようなプロセスの研究を続けていま

その中で、我々のグループでは特にリサイクルに関する研究を中心に行っています。我々のグループでは、溶融塩を用いたリサイクル法を研究しています。電気化学の項でも話しましたが、アルミニウム、ネオジムなど水素より活性な(酸化されやすい)金属のリサイクルを行っています。

例えば、溶融フッ化物を用いたNd-Fe-B系希土類磁石合金のリサイクルプロセスを開発しました。一般的に、希土類磁石は酸素に強く汚染されており、そのまま溶融して再生することはできませんが、磁石スクラップをフッ化物と共に再溶融することで酸素を除去し、酸素濃度を200 mass ppm以下まで低下させることに成功しました。また、現在では、電気分解を利用して、この希土類磁石合金の再生を目指して研究を行っています。

その他にも、自動車エンジン等に使われていて、電気自動車の発展により、今後大量廃棄が予想される、Alスクラップをリサイクルする、固体アルミニウム溶融塩電解技術(Solid-state electrolysis, SSE)を開発しました。この方法は、従来アルミニウム製錬に利用されていたエネルギーの半分以下で純度99.8%以上のAlを高い収率で回収できる、独自のプロセスです​。

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​「機能性材料」

材料は様々な分野で用いられていますが、その性能を最大限活かすためには、様々な工夫が求められます。例えば、鉄をクロム等と合金化させて、ステンレスが作られるように、それぞれの特性や利点によって、欠点を補うことでより良い機能を持った素材となります。

我々のグループはその中でも「チタン」という金属に着目して、研究を行っています。チタンやその合金は、強度が高く、耐食性が高く、生体親和性も優れるため、非常に幅広く利用されています。しかし、チタン材は酸化されやすく、加工性が悪いため、部品の製造コストが高いという欠点があります。そのため、より安価に部品を製造出来る、3Dプリンタを利用した積層造形をするための微粉末の製造を目指して、我々のグループでは研究を行っています。

また、優れた特徴を持つチタンを更に良い機能性を持つ材料にするための研究も行っています。我々のグループでは、合金化すると、軽くて強度が高く、耐食性も期待できるマグネシウムと組み合わせることで、より高い機能性を目指した研究も行っています。

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スポンジチタン(チタン微粉末原料)

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チタン微粉末

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​研究実績

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