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​研究内容

A. 溶融塩電気化学

 溶融塩は広い電位窓を有し、リチウムやレアアース金属等の活性金属も還元析出が可能な優れた媒体である。我々のグループでは、溶融塩電気化学を利用した、活性金属の製造(電解採取)、電気メッキによる耐熱材料の表面改質、活性金属のリサイクルプロセス(電解精製)等の研究を行っている。例えば、タービン材として用いられるNi基超合金の表面に、耐酸化性に優れた二珪化モリブデンの被膜を電気化学的に形成することに成功している。現在は、超軽量で高温でも高強度のC/Cコンポジットの表面を珪化することで、革新的な耐熱材料の創成を目指している。

 

B. 高温化学プロセス

 高温化学プロセスは、活性金属や高機能材料の製造、また、金属のリサイクルや廃棄物処理に欠かせないものである。例えば、我々のグループでは、溶融フッ化物を用いたNd-Fe-B系希土類磁石合金のリサイクルプロセスを開発した。一般的に、希土類磁石は酸素に強く汚染されており、そのまま溶融して再生することはできない。我々は、磁石スクラップをフッ化物と共に再溶融することで酸素を除去し、酸素濃度を200ppm以下まで低下させることに成功した。通常の磁石合金バージン材の酸素濃度は500 ppm程度であり、十分に再生が可能であることがわかった。

 

C. 融体物性

 高温融体(溶融金属、溶融塩、溶融スラグ等)の熱物性、例えば、粘度、密度、表面張力、電気伝導度は、原子レベルの液体の構造を研究する上で、また、製錬装置を設計する上で、また、製造プロセスをシミュレーションする上で非常に重要である。我々のグループでは、高温融体の熱物性値を正確に決定することで液体の本質的な挙動を研究している。例えば、雰囲気制御可能な回転法粘度計を開発し、フッ化物を含む溶融ケイ酸塩の粘度を正確に決定することに成功した。現在は、10 mPa·s級の粘度を正確に測定できる回転法粘度計の開発等を行い、より広い組成範囲での粘度挙動を明らかにすることを試みている。

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